2020年2月21日に東京証券取引所から新市場区分についての発表がされました。
上場企業は、2021年の9月~12月にかけて市場選択手続きを取り、2022年4月に新市場区分への移行が完了するという予定です。
本記事では、この市場区分の変更について一部上場企業の社員が知っておくべきことをわかりやすく解説します。
市場区分の見直しの目的
そもそもこの市場区分の見直しの目的は、市場を明確なコンセプトで分けることです。これは現在の市場区分が不明確だからです。
従来の市場区分は以下の5つ
市場一部、市場二部、ジャスダック・スタンダード、ジャスダック・グロース、マザーズ
この5つの市場が以下の3つに再編されます。
プライム、スタンダード、グロース
プライム市場
→ 多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高い ガバナンス水準を備える企業向けの市場
スタンダード
→ 公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企 業としての基本的なガバナンス水準を備える企業向けの市場
グロース
→ 高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる企業向けの市場
そして皆さんが気になるのは、自分の所属する企業が「東証一部上場」(=プライム上場)というブランドを維持できるのか。ということだと思います。
そこで東証一部上場企業がプライム市場に上場できるのかということについて解説します。
東証一部上場⇒プライム市場上場 への条件
東証一部上場からプライム市場への移行には、条件があります。
条件は以下の3つに大別されます。
流動性
多様な機関投資家が安心して投資対象とすることができる潤沢な流動性の基礎を備えている。
⇒売買をスムーズにできるってコトですね。買い手・売り手が常にいるような市場にしたいですからね。
経営成績・財政状況
安定的かつ優れた収益基盤・財政状態を有すること。
⇒上場している企業としては当然ですね。
ガバナンス
上場会社と機関投資家との間の建設的な対話の実効性を担保する基盤のあること
⇒こいつが一番厄介です(後述)
この3つの条件のうち、流動性と経営成績・財政状況については、定量による判断となります。現在の東証一部上場企業には経過措置が取られるため、仮に条件を満たせていなくてもOKです。
問題なのは、ガバナンスの項目です。ガバナンスについてより詳しく解説します。
プライム市場のガバナンス基準について
プライム市場に対しては、従来の東証一部上場企業に義務付けれられているコーポレートガバナンスコード(以下、CGコードという)がより厳格化されて適用される予定です。
具体的なCGコードの厳格化については現段階で明言はされていませんが、プライム市場が世界に開かれた市場をコンセプトとしているため、世界から評価されるために、英文による開示や社外役員比率の向上が求められるだろうと思われます。
まとめ
市場区分の変更について大きな影響が予想されるのは、ガバナンスの改革が必要となるということです。
今後、企業や経営者は自社のブランドを保つためにガバナンスの強化をせざるを得なくなることでしょう。
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