2020年2月東京証券取引所(以下「 東証 」という)は独立役員と認められる独立性基準について改訂をしました。本記事では、この「独立役員」についてそもそも独立役員とは何なのか。なぜ必要なのか。ということについて解説します。
そもそも独立役員ってなに?
独立役員とは、一般株主と利益相反が生じる恐れのない社外取締役又は社外監査役をいいます。そしてこの独立役員は、上場している企業が遵守しなければならないルール(上場規程)により設置を義務付けられています。
はい、いつもどおりわかりづらいですね。この分野ってそんなもんです。ポンコツ社員にはツライよ……。それはさておき、すごく簡単に言ってしまえば、独立役員とは、経営のトップ層にいて会社の言いなりにならない人ということです。
経営層(取締役)というのは、株主に選ばれてこそいるものの、しばしば株主と利益が衝突します。例えば配当に関して言えば、株主は当然の権利として投資に対する多くのリターン( 配当 )を求めます。対して経営層は安定した企業活動を行うためにお金はすべては配当に回さずに会社に残しておきたい。そんな心理が働きます。
このように経営層と一般株主の間に立場の違いにより生じる利益の違い( 利益相反 )があります。
独立役員とは、このような利益の相反が起こりえない役員のことを言います。
なぜ必要なの?
ではなぜこの「独立役員」 は必要なのか 。これはガバナンスの問題です。
上場企業というのは、市場において多くの人から資金を募り経営をしています。つまり何か不祥事が起こってしまえば、企業の株価は下がり、そのような企業の株が出回っている証券市場そのものの信頼の失墜にもつながります。そして日本の経済にも大きな悪影響を与えかねません。
そのような背景のもと、上場企業は通常の企業よりも厳しいルールを課せられます。これが上場規程です。そしてこの上場規程においてなぜ「独立役員」の設置が義務付けられているか。それは企業の経営判断をフェアに行うためです。
考えてみてください。仮に企業の製品に関してリコールが必要な欠陥が見つかったとして、そのリコールには多額の費用が掛かるとします。
当然リコールをすべきであったとしてもそのリコールにより大きな損害が出てしまい、最悪の場合は倒産もありうる状況だとします。そんな状況では、企業はそのリコールを隠してしまいたくなりませんか?…経営している企業がなくなる。そんなことは絶対に避けたいですからね。
このように普通企業の役員は、企業側の理屈に縛られて判断をしてしまいます。そこで独立役員という会社側の理屈に縛られないひとを置くことでガバナンスに有効活用しようというわけです。
独立役員の条件は?
ざっくり独立役員として認められるためには、金のかかわりがないことや親族関係がないことが必要な条件です。
まずは会社から経済的に独立している必要があります。お金の言いなりになる人って多いですからね。また、そのほか例親族なども企業から独立しているとはみなされません。それは親族の会社の不正に目をつぶってしまうなんてこともあるかもしれないからです。
ほかにも独立役員になることが認められない一部の例を紹介します。
①上場企業の主要な取引先→これはダメですね。明らかに言いなりになりますもん。「この秘密に目を瞑らないと取引切るぞー 」 この一言で一発KOです。独立していません。
②コンサル類→これもダメです。専門家であろうと顧客であり金の流れがあればNGです。
③元社員(関係会社含)→退職後だろうと、相手は古巣となります。しっかり対応できますかね?元上司などに臆せず意見できますか?ってことでこれも独立性なしと判断されます。
もっと詳しく知りたいよーって方は、東証の定める「上場管理等に関するガイドライン」を参照ください。眠くなりますよ 笑
まとめ
今回解説した「独立役員」は非常に重要です。昨今のガバナンスでは「適法性」は最重要な要素であり、適法性を維持するために適切なガバナンス体制を構築する必要があります。
そのためには、多様な意見が必要であり、健全な経営、健全な議論のためには、企業の利害にとらわれない独立した立場の人間が必要だということです。
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