本稿では、CGコードの中でもよく新聞や経済誌に取り上げられる「政策保有株式」について簡単な解説をしまーす。
政策保有株式とは?
結論として、政策保有株式とは経営の安定化を図るために活用される株式です。
ただし、「政策保有株式」というものについて明確には定義はなされていません。
これは前の記事でも紹介した通り、解釈は企業さんが自由に考えてねっていうCGコードの基本的な考え方です。
いやぁそんなこと言われても困るよって感じですよね。そこで実務的には、
この政策保有株式は、「『純投資目的』以外の目的で保有している株式」とされます。
どういうことかというと、株式というのはふつうは株式の値上がりによる利益や配当による利益を得ることを目的としています。
これを逆説的にとらえて、投資目的以外で保有している株式=政策保有株式 と解釈されるのが一般的です。
じゃあこの「純投資目的」以外の株式をなぜ持つのか。
それは、企業と企業の関係性を強化したいからです。
まず、そもそも株というのは会社の決定権です。選挙での一票のようなものです。
例えば企業の経営陣(取締役)なんてものも株主に選ばれます。つまり、株というのは企業に口出しができる権利ということです。
会社としては、株は誰かに持っていてもらわないと困るけれど、本心では、経営に関してあれこれ口出しはしてほしくない。そんな本音があります。
そこでだれかモノを言わない人に株を持っていてほしいなぁというニーズが生まれます。
そこで出てくるのが、取引先などの企業です。
ここでは株を売る企業をAさん。取引先をBさんとします。
AさんはこのBさんに「うちの株持ってくれない?」ということをやってやるわけです。
一見ではBさんは高いお金を出して黙っててねなんてのはメリットは何もないじゃないか!と思うかもしれませんが、実はこれはWIN-WINの関係になりえます。
それは、Aさんとしては、当然株を買ってもらう企業は安定した(モノを言わない)株主が増え、
買った企業であるBさんはAさんへの発言権を握ることで自分との取引自体が安定する というわけです。
株を売ったりされたら困るので、AさんもBさんとの取引を大切にせざるを得なくなりますからね。
こういうことをお互いの株をもってやっているようなこともあります。
ざっくりこのように使われるのが「政策保有株式」です。
それが今何なの?
結論として、現在はこの政策保有株式はあまり良いものとは考えられていません。
以前解説したように、このCGコードが設けられた理由は、企業が成長するように変わってほしいということです。
そして会社の経営に対して変わるように圧力をかけられるのは経営への発言権がある株主です。 その株主さんがモノを言わないようでは会社は変わってくれませんよね。
そういう背景のもとこの「政策保有株式」は減らしてねというのが政府の考えです。
ただ、もちろん何事にも例外はあります。「政策補保有株式」が企業にとって大きなメリットであれば、その政策保有株式を手放すことは企業価値を下げることになります。
そのため、「政策保有株式」は持ってはいけないもの<悪>とまではされていません。
ただし、持っているのならば、その「政策保有株式」がきちんとメリットがあるかを検証しなさい!ということになっています。
何をすればよいの?
そ具体的に何をするかというと、個別の株式について、取締役会(経営トップの会議)においてその保有の合理性を検証することになっています。そして、この株式持ってても意味なくね?なんて話になったらその株式はタイミングを見つつ手放すことにしましょうなんてことを判断します。
そしてこの検証方法自体は、例に倣って「このように判断しなさい!」ということはCGコードで明確には定められていません。
(※プリンシプルべースアプローチ)
判断基準としては、取引先との取引額や協業。弱点を補ってくれているか。 なんてことを判断基準にしている企業さんが多いみたいです。
まとめ
CGコードでの着眼点の一つは『効率性』です。企業の『お金』の使い方がちゃんと効率的なの?無駄なこと(意味のない株)に使ってない?ということを考えさせ、企業がお金を効率的に使うことを考えさせるとともに、株式をただ持ってるだけの人を減らすことで、企業に意見を言う人を増やし、企業が変わりやすく、かつ日本の証券市場を流動性の高いものにしようということを実現するために『政策保有株式』は減らしましょう。ということになっているわけです。
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