企業経営を行う上で取締役は多くの意思決定を行います。そのなかには、結果としての失敗も起こりえます。しかし、結果論で取締役を審査し、責任を問うようなことがあれば、それは取締役の意思決定を過剰に委縮させる恐れがあります。
そこで、この経営判断の原則は、その意思決定時に合理性があれば、取締役の責任はないものとみなし、取締役に広い裁量を認めるという原則です。
経営判断の原則が適用される条件は?
上述の通り、経営判断の原則が当てはまれば、事後的に取締役が責任を問われることはありません。ただし、もちろんそれには一定の条件があります。
その条件とは、
- 前提事実の認識の相当性
→経営判断の前提となる事実の調査・認識に不注意な誤りがないこと
- 意思決定の合理性
→前提事実に基づく意思決定が通常の企業人として著しく不合理でないこと
それでは以下でより詳しく説明します。
「 前提事実の認識の相当性 」と「 意思決定の合理性 」
簡単に言えば、経営の意思決定をする上で①必要な前提となる判断材料を収集している。
そして②その判断材料の認識を誤っていないか ということです。
例えば、企業が1億ドルの不動産の購入を検討したとします。
この例えでいえば、①はその不動産の購入価格が適切かということを調べることを言います。
値段や相場すらわかっていないものを購入して損害を出せば責任を問われて当然だというのは想像に難くないでしょう。
そして、②その判断材料の認識を誤っていないか ということは、
例えでいえば②はその不動産価格を1億ドルではなく1億円と間違えてた といった不注意な認識のミスをしていないかということになります。
どれくらい情報収集や調査・検討をすればよいのさ
経営判断の原則が当てはまるには前提の判断が非常に重要だということです。そして皆さん疑問があるのではないのでしょうか。
じゃあどこまでやりゃあよいのさ
気になりますよね。実際例えのように高額な不動産購入をするとして価格や相場さえ分かっていればOK。そんなことはおそらくないと思われます。賃貸業をするのならば賃借料がどの程度見込めて、固定資産税はいくらで…みたいなこともきちんと調べ、どれくらいで採算がとれるかを検証しなければならないでしょう。
そこで経営判断の原則を有効なものとするのに重要なのが以下の3点です。
➀ 適切かつ合理的と信じる範囲の情報と知識を得ていること
②経営判断が会社にとって最良の利益であると相当の根拠をもって信じること
③ 情報収集・検討経過についての記録化の必要性
次回のブログでは、この3要件について詳しく説明します。
それでは!
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